イメージ 古民家リノベーションの費用はいくら?改修範囲別の総額シミュレーションと予算の考え方【建築設計者が解説】
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結論からお伝えします。古民家リノベーションの費用は、「坪単価」という一本の数字だけでは決まりません。水回りだけ直すのか、断熱まで含めるのか、構造から見直すのかで、総額は数百万円単位で変わります。
この記事は、建築設計の実務に携わる運営者が書いています。改修範囲別の総額イメージを3段階に分けて整理し、物件取得費を含めた「古民家で暮らし始めるまで」の資金計画の考え方をまとめました。移住・二拠点居住を検討して古民家に関心を持っている方にも参考になる内容です。個別の建物の工事費を保証するものではないため、実際の金額は必ず現地調査を経た正式な見積もりでご確認ください。
1. 古民家リノベーションの費用は「坪単価」だけでは決まらない
古民家リノベーションの坪単価は、おおむね35万円〜80万円が目安とされています。新築の現代和風住宅との比較は純和風・和モダン住宅の価格相場【2026年版】で整理しています。
ただ、この数字をそのまま「わが家ならいくら」に当てはめるのは早計です。坪単価は改修範囲によって何倍も変わるからです。水回りだけの改修なら下限寄り、構造補強から断熱、内装まで含むフル改修なら上限寄りになります。同じ「古民家リノベ」という言葉でも、中身がまったく違う工事を指していることが多い、とまず押さえてください。
まず押さえる3段階の目安
本記事では、改修範囲を次の3段階に分けて考えます。
- 小規模改修:水回り・内装中心
- 中規模改修:断熱改修+水回りを含む
- フル改修:構造補強+断熱+水回り+内装まで含む
どの段階が自分の物件に当てはまるかは、現地調査で建物の状態を見るまで確定しません。ただ、3段階の総額イメージを先に持っておくと役立ちます。見積もりが出てきたときに「高いのか妥当なのか」を判断する土台になります。
この記事で扱う範囲
本記事で扱うのは主に改修費です。物件そのものの取得費(購入費)は、別枠として4章で扱います。また、なぜ古民家の見積もりが着工前に確定しないのか、その構造的な理由については3章で要約し、詳しくは別記事に譲ります。
2. 改修範囲別の総額イメージ(3段階シミュレーション)
延床30坪前後の古民家を例に、改修範囲別の総額イメージを示します。
注記:下表の坪単価レンジは、純和風・和モダン住宅の価格相場【2026年版】で示した古民家リノベの坪単価35-80万円という既存の相場レンジがもとになっています。改修範囲の重さに応じて、当サイトが目安として区切ったものです。新たな独自調査による数値ではありません。実際の金額は物件の状態・地域・施工会社によって大きく変動します。
| 改修範囲 | 主な工事内容 | 坪単価目安 | 30坪換算の総額目安 | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|
| 小規模改修 | 水回り(キッチン・浴室・トイレ)+内装の張り替え中心 | 35-45万円 | 約1,050-1,350万円 | 構造・基礎に大きな問題がなく、見た目と水回りの快適性だけ上げたい |
| 中規模改修 | 小規模の内容+断熱改修(壁・床・天井の一部) | 45-60万円 | 約1,350-1,800万円 | 冬の寒さ・結露が気になり、断熱まで含めて直したい |
| フル改修 | 構造補強(耐震)+断熱+水回り+内装まで全体を見直す | 60-80万円 | 約1,800-2,400万円 | 古い建物で構造・基礎の劣化が見込まれ、長く住み続けたい |
※イメージ 小規模改修(水回り・内装のみ)の総額イメージ
構造や基礎に大きな問題がなければ、小規模改修の範囲で検討できる可能性があります。「水回りが古い」「内装の雰囲気を変えたい」という段階が目安です。ただし、古民家は解体して初めて構造材の状態が分かる建物です。水回りの配管を交換するために床を開けたら、下の土台が傷んでいた、というケースも珍しくありません。小規模で収まる前提そのものが、調査の結果で変わることがあります。
中規模改修(断熱・水回りを含む)の総額イメージ
「冬が寒い」「結露が気になる」という理由で古民家リノベを検討する方は多くいます。断熱改修は人気の高い工事内容です。ただし断熱を入れるには壁・床・天井を開けます。そこで構造材の劣化が見つかると、中規模のつもりが結果的にフル改修側に近づくことがあります。この連鎖は、古民家リフォームで失敗する人が見落とす「解体してみないと分からない」の中身で詳しく整理しています。
フル改修(構造補強・断熱・水回り・内装を含む)の総額イメージ
築年数が古く、耐震性能に不安がある場合は、構造補強を含むフル改修が選択肢になります。坪単価は上がります。ただ、**「どうせ壁を開けるなら、断熱も耐震も同じタイミングでまとめてやる」**という考え方は、工事の無駄を減らす意味でも理にかなっています。壁を開ける工事を2回に分けると、仕上げを壊してやり直す分のコストがかさみます。
3. なぜ古民家は「想定外」が起きやすいのか
ここまでの総額イメージは、あくまで着工前の目安です。古民家の見積もりが動きやすいのは、業者が不誠実だからではなく、建物の構造上、壁や床を剥がすまで中身が見えないためです。
※イメージ 解体して初めて分かることの多くは、次の3つに集約されます。
- 構造材の劣化:柱の根元・土台まわりがシロアリや湿気で傷んでいないか
- 基礎の状態:現在の耐震基準を前提とした基礎になっているか(石場建てなど伝統工法の場合は補強の考え方が変わる)
- 断熱層の有無:壁・床・天井に断熱材が入っていないのが前提になる
この3つがどの程度当てはまるかで、総額は小規模からフル改修側へ動きます。詳しい内容と、既存不適格・再建築不可といった法的な確認ポイントは、古民家リフォームで失敗する人が見落とす「解体してみないと分からない」の中身で整理しています。あわせてご覧ください。
4. 改修費だけでなく「物件取得費」も含めて考える
古民家リノベを検討するとき、見落とされやすいのが物件そのものの取得費です。改修費だけに目が向きがちですが、「古民家で暮らし始めるまで」の総額は、取得費+改修費の合計で考えます。
「古民家は安い」は物件取得費の話であることが多い
自治体の空き家バンクなどを通じて、物件自体を数百万円以下、あるいはそれに近い金額で取得できるケースがあります。これが「古民家は安い」という印象につながっていますが、それは物件取得費の話であって、改修費とは別です。
前章までのシミュレーションのとおり、改修費が新築の本体工事費に近づく、あるいは上回ることもあります。「古民家=総額が安い」と決めつけず、取得費と改修費をそれぞれ別の数字として見積もってください。移住・二拠点居住の目的で物件を探している場合も、この2つを分けて考える点は変わりません。
新築・中古住宅購入との総額比較の考え方
新築の現代和風住宅は坪単価70-100万円程度が目安とされます。詳細は純和風・和モダン住宅の価格相場【2026年版】のQ4・Q8で整理しています。古民家リノベは坪単価自体は新築より低いレンジ(35-80万円)ですが、物件取得費を別に積む必要がある点が新築と違います。
つまり比較すべきは「坪単価の高さ」ではなく、取得費+改修費の合計が、新築や中古住宅購入の総額に対してどうなるかです。構造躯体が健全な物件に安く出会えれば、総額は新築を下回ることがあります。一方、構造・基礎の補強が必要な物件では、取得費と改修費の合計が新築並みになることもあります。
5. 資金計画の考え方(ローン・補助金)
リフォームローンと住宅ローンの違い
物件を購入してから改修する場合、物件購入には住宅ローンを使います。改修費には別にリフォームローンを組むか、一体型のローンを使うといった選択肢があります。金利・融資上限・担保の有無は金融機関や商品によって異なるため、個別の条件は金融機関の窓口で確認するのが確実です。
支払いタイミングにも注意
注文住宅と同様、古民家リノベも契約時・着工時・中間時点・引き渡し時と、複数回に分けて代金を支払うのが一般的です。住宅ローンの資金が実行されるのは基本的に引き渡し後です。着工金・中間金の段階では、自己資金、またはつなぎ融資などで対応することになります。この仕組みの詳細は純和風・和モダン住宅の価格相場【2026年版】でも整理していますので、あわせてご確認ください。
自治体の空き家・古民家改修補助金
自治体によっては、空き家の改修や古民家の再生を支援する補助金制度を設けている場合があります。ただし、制度の有無・対象条件・金額は自治体ごとに大きく異なり、すべての古民家で使えるわけではありません。本記事では個別の制度名・金額の断定はしません。**「お住まいの、または検討中の自治体に、空き家・古民家改修に関する補助金制度があるかどうかを、自治体の窓口や公式サイトで確認する」**ことを資金計画の入口としてお伝えします。制度が使える場合でも、申請のタイミング(着工前の申請が前提になることが多い)には注意してください。
6. 業者ごとに見積もりが変わる理由と、複数社を比較する意味
ここまで整理した総額イメージは、あくまで「規模感」をつかむための目安です。実際の金額は、同じ改修範囲でも業者によって見積もりが大きく変わります。
理由は、3章で触れた「解体して初めて分かる」部分の調査精度が、業者によって異なるためです。
- 床下・小屋裏に実際に入って調べているか
- 調査費用を見積書に明記しているか
- 解体後に想定と違った場合の進め方を、契約前に説明できるか
1社だけの見積もりでは、その金額が高いのか妥当なのか、比較する基準がありません。総額の規模感がつかめたら、複数社の見積もりを比べて答え合わせをするのが次のステップです。
【Re:est】は運営元(ニッカホーム株式会社)の店舗網を使うサービスです。店舗の対応エリア外からは申し込めません。 対応エリアは店舗の展開状況によって変わるため、お住まいの地域が対象かどうかを、申し込み前に公式サイトでご確認ください。
いずれも見積もり自体は無料です。「規模感はついたが、実際にいくらかかるかは分からない」という段階で、複数社の考え方を並べて見ることをおすすめします。
7. よくある質問
Q. 古民家リノベーションは本当に新築より安いですか?
A. 物件次第です。構造躯体が健全であれば、取得費+改修費の総額が新築を下回ることもあります。一方、耐震補強や断熱改修が必要な場合は、改修費だけで新築の本体工事費に近づく、あるいは上回ることもあります。「古民家は安い」のは主に物件取得費の話であり、改修費は別に見積もってください。
Q. 水回りだけ改修する場合、費用はどれくらいですか?
A. 本記事の区分では「小規模改修」に近く、坪単価35-45万円、30坪換算で約1,050-1,350万円が目安です。ただし配管や床を開けた際に構造材の劣化が見つかると、追加費用が発生することがあります。
Q. 補助金はどの古民家でも使えますか?
A. いいえ。自治体によって制度の有無・対象条件・金額が異なり、すべての古民家で使えるわけではありません。検討中の自治体の窓口や公式サイトで、空き家・古民家改修に関する補助金制度の有無を確認してください。
Q. 見積もりはどのタイミングで取るべきですか?
A. 改修範囲別の総額イメージ(本記事の2章)で規模感をつかんだ後が目安です。規模感がないまま見積もりを依頼すると、出てきた金額が高いのか妥当なのか判断しづらくなります。
Q. 改修費用の支払いはいつ発生しますか?
A. 契約時・着工時・中間時点・引き渡し時など、複数回に分けて支払うのが一般的です。住宅ローンの資金実行は基本的に引き渡し後のため、着工金・中間金の段階は自己資金やつなぎ融資で対応することになります。
8. まとめ:古民家リノベーションの予算を組む3ステップ
古民家リノベーションの費用を考えるときのポイントを、3つのステップで再掲します。
- どの改修範囲(小規模/中規模/フル)が必要か見極める:構造・基礎・断熱の状態によって、必要な範囲は変わります
- 改修費+物件取得費を合算した総額で考える:「古民家は安い」は物件取得費の話であり、改修費は別枠です
- 複数社の見積もりを比較して、規模感の答え合わせをする:1社だけでは金額の妥当性を判断できません
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免責・注記
- 本記事の坪単価・総額イメージは、純和風・和モダン住宅の価格相場【2026年版】で示した既存の相場レンジ(坪35-80万円)を改修範囲別に区分した目安です。独自の実測調査によるものではありません
- 実際の費用は物件の状態・地域・施工会社によって大きく変動します。最終的な金額は、必ず現地調査を経た各社の正式な見積もりでご確認ください
- 補助金制度の有無・内容は自治体によって異なります。個別の制度については、検討中の自治体の窓口や公式サイトで直接ご確認ください
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