イメージ 二世帯リフォームの費用はいくら?「完全分離」「部分共用」「同居改修」で工事規模と金額が変わる理由を建築設計者が解説【2026年版】
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この記事は、建築設計の実務に携わる運営者が、各社が公開している費用の目安を出典付きで整理したものです。
※イメージ 結論:二世帯リフォームは「完全分離」「部分共用」「同居改修」で工事規模も金額も別物
二世帯リフォームと聞くと1つの工事のように思われがちですが、実際は規模がまったく違う3つの方向に分かれます。公開されている目安は次のとおりです。
| タイプ | 内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 完全分離型 | 玄関・キッチン・浴室・トイレをすべて2系統にする | 1,500万〜3,000万円程度 |
| 部分共用型 | 玄関や浴室の一部を共有し、キッチンだけ分ける等 | 500万〜1,500万円程度 |
| 同居のままの部分改修 | 個室増築・防音・水回り1箇所だけ追加 | 20万〜300万円程度 |
完全分離型と同居改修では、費用に数十倍の差が出ます。差を生むのは、水回り設備をいくつ増やすか、玄関まで新設するかという「2系統目をどこまで作るか」です。
出典はいずれも2026年10月29日に確認した各社の公開情報です(記事末に一覧)。各社でレンジの幅にばらつきがあるため、本記事では複数社の数値を合わせた目安としています。
あなたはどのタイプに近いか、30秒で確認
- 玄関・キッチン・浴室・トイレをすべて分け、将来的に生活を完全に分離したい → 完全分離型
- 玄関や浴室の一部は共有してよいが、キッチンだけは分けたい → 部分共用型
- 住まいは今のまま、個室を増やす・防音する・水回りを1箇所だけ追加したい → 同居のままの部分改修
完全分離型・部分共用型は水回り設備の増設や間取り変更を伴う本格的な工事で、リフォーム会社への依頼が基本です。同居のままの部分改修は工事規模が小さく、地元の工務店や大工への直接依頼で済むケースも多くあります。
完全分離型(玄関・水回り・生活空間をすべて分ける)
新築に近い規模になる理由
完全分離型は、キッチン・浴室・トイレ・洗面台を2系統ずつ設け、さらに玄関と生活空間そのものを分けます。既存の建物に新たに配管・配線を通し、場合によっては増築や玄関の新設も伴うため、工事の組み立て方は新築に近くなります。
水回り設備を1系統増やすだけでも給排水管の新設工事が発生します。玄関を新たに設ける場合は、外壁の開口や階段の新設まで必要になることがあります。この「新たに作る系統が多いほど金額が上がる」という構造が、完全分離型の費用を大きく押し上げます。
費用の目安
完全分離型の総額は、公開されている情報では1,500万〜3,000万円程度が目安です。工事部位別では、次のような目安が示されています。
| 工事内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| キッチン増設 | 100万〜300万円程度 |
| 浴室(ユニットバス)増設 | 100万〜250万円程度 |
| トイレ増設 | 40万〜100万円程度 |
| 洗面台増設 | 30万〜80万円程度 |
| 玄関の新設 | 60万〜300万円程度 |
水回り4点をすべて増設すると、それだけで300万〜700万円程度になります。そこに玄関新設・間取り変更・内装の仕上げが加わり、総額が1,500万円を超えてくるのが実態に近い金額感です。
【設計実務の視点】玄関を2つにする場合、接道・建築基準法上の制約を事前に確認する
完全分離型で玄関を新たに設ける場合、外壁のどこに開口を作れるかは構造だけで決まりません。接道状況や建築基準法上の制約にも左右されます。特に、玄関を増やすことで建物の用途が「1戸」から「2戸」とみなされる可能性がある地域・ケースもあります。その場合は、確認申請の扱いが変わることがあります。
ケースによって判断が分かれます。計画の初期段階で、設計者・施工会社に「このプランで建築基準法上の扱いがどうなるか」を確認しておきましょう。後から図面を作り直す事態を避けやすくなります。
部分共用型(玄関や浴室の一部を共有し、キッチンだけ分ける等)
※イメージ 水回りを2系統に増やす配管工事の規模と費用の目安
部分共用型は、玄関や浴室などは共有したまま、キッチンだけを2系統にする、あるいは浴室だけを増設するといった工事です。完全分離型よりも増設する水回りの数が少ないため、工事規模・費用は小さくなります。
公開されている情報では、部分共用型の総額は500万〜1,500万円程度が目安です。水回りをどこまで増やすかによって、同じ部分共用型でも金額の幅が大きく出ます。キッチンだけを増設する場合は、数百万円台で収まるケースもあります。浴室・トイレまで増設すると、完全分離型に近い金額になることもあります。
【設計実務の視点】既存の配管位置からキッチン・浴室を離すほど費用が上がりやすい
水回りを増設する工事の費用は、新しく設置する場所と既存の給排水管・配管の位置関係で大きく変わります。既存の配管にそのまま接続できる位置であれば、配管工事は短く済みます。離れた場所に新設する場合は、配管を長く引く必要があります。床下や壁の中を通す経路の確保・補強工事も追加になります。
見積もりを依頼する際は、増設したい場所と現在の水回りの位置関係を伝えておきましょう。現地調査で配管ルートを確認してもらいやすくなります。
同居のままの部分改修(個室増築・防音・水回り1箇所だけ追加)
費用の目安
住まいは今のまま、個室を増やす・防音工事をする・トイレや洗面など水回りを1箇所だけ追加するタイプです。完全分離型・部分共用型と比べて工事範囲が狭く、公開されている情報では20万〜300万円程度が目安です。
- 個室の増築(6畳程度): 200万〜230万円程度
- 防音工事(壁・床の防音補強): 数万〜数十万円程度(範囲により変動)
- 水回り1箇所のみの追加(トイレまたは洗面台): 30万〜100万円程度
このタイプは、水回りを新たに系統として増やす改修ではありません。「あると便利な1箇所を追加する」「生活音の衝突を減らす」といった改修が中心です。工事範囲が狭いため、壁紙・建具の交換等は自分で対応できる場合もあります。地元の工務店・大工への直接依頼で済むケースも多くあります。
金額が何倍も変わる理由(5つの要因)
1. 完全分離か部分共用かという構造の違い
玄関・水回りをすべて2系統にするか、一部だけ共有するかで、必要な設備・配管の数が変わります。これが金額の差を生む最大の要因です。
2. 既存配管からの距離
増設する水回りを既存の配管からどれだけ離すかで、配管工事の規模が変わります。離れるほど、床下や壁内を通す経路の工事が増え、費用が上がります。
3. 玄関増設の可否(建築基準法)
玄関を新たに設けられるかどうかは、接道状況や建築基準法上の制約によって変わります。増設できない場合は、内部で生活空間を分ける間仕切り中心のプランに切り替える必要があり、工事の組み立て方自体が変わる点に注意が必要です。
4. 構造が木造かRCか
木造住宅は、配管・配線のルートを比較的柔軟に変更できます。RC(鉄筋コンクリート)造の住宅は構造上、壁や床を抜ける位置に制約が出やすく、その分工事費が上がる傾向があります。
5. バリアフリー要素の有無
親世帯の居住スペースに、段差解消・手すり設置・引き戸化などのバリアフリー工事を同時に行う場合があります。その分、費用が上乗せされます。将来の介護を見据えて同時にやっておくか、後回しにするかで総額が変わります。
二世帯リフォームで知っておきたい3つの注意点
1. 完全分離で賃貸収入を得る場合、建築基準法上の扱いが変わるケースがある
完全分離型にして片方の世帯を賃貸に出すことを検討している場合、建物の用途や扱いが変わるケースがあります。これは一律の基準ではなく、自治体や個別の建物の状況によって判断が分かれます。計画段階で、自治体の建築担当窓口や設計者・専門家への確認をおすすめします。
2. リフォームローンは誰が組むか
二世帯リフォームでは、親世帯・子世帯のどちらが費用を負担するかによって、ローンの組み方が変わります。親子リレーローン(親子で返済を引き継ぐ形のローン)や、子育て支援型のリフォームローンなど、金融機関によって選択肢が異なります。早い段階で相談しておくと、資金計画が立てやすくなります。
3. 家族間でキッチン・水回りの希望がズレやすいため、着工前の合意形成が重要
二世帯リフォームでは、親世帯・子世帯で希望がズレることがよくあります。例えば「キッチンは完全に分けたい」「浴室は共有でいい」などです。着工後に希望の違いが発覚すると、追加工事や設計変更が発生し、費用も工期も延びやすくなります。計画の初期段階で、両世帯の希望を一度にまとめて業者に伝えることが重要です。
見積もりの頼み先は、工事規模で分ける
※イメージ 個室増築・防音のみを検討している方(15万円未満の見積もりになりやすい方)
水回りの増設を伴わない個室増築や防音工事のみの場合、見積もり金額が15万円未満になることがあります。一括見積もりサービスの多くは、ある程度の工事規模を前提に設計されています。このタイプは、地元の工務店・大工への直接相談が向いています。
15万円超〜部分共用型を検討している方
キッチンや浴室を1〜2箇所増設する部分共用型は、見積もり金額が15万円を超えやすい傾向があります。一括見積もりサービスの対象になります。電話でのやり取りをできるだけ避けたい場合は、フォーム完結型の見積もりサービスが候補になります。
- Re:est(リフォーム簡単見積もり) — 大手リフォーム会社が運営し、見積もりか下見までを無料で受けられます。フォーム完結の見積もり依頼が前提で、電話での問い合わせは対象外です。また、本見積もりの金額が15万円以下になる見込みの小規模工事も対象外です。運営元の店舗網を使うため、対応エリア外からは申し込めません。お住まいの地域が対象かどうかを、申し込み前に公式サイトでご確認ください。
50万円以上の完全分離型・大規模な増築を検討している方
玄関まで分ける完全分離型や、水回りをすべて増設する大規模な工事は、見積もり金額が50万円を超えることが多くなります。以下の一括見積もりサービスが候補です。
- リフォーム比較プロ — 広告主の案内では、全国500社以上のリフォーム会社が登録しています。申し込みのあと、本人確認のための電話連絡が入ります。本人確認が取れない場合は対象外となるため、着信にはご対応ください。
-
ハピタスリフォーム(簡単一括見積もり) — 工事費用が50万円(税込)未満の見積もり依頼は対象外です。完全分離型などの大規模工事を検討している方向けの選択肢です。成果の流れは次の2段階です。
- 申込後15日以内に、電話で氏名・住所・リフォーム希望内容を確認
- 60日以内に見積書を受け取る
申込だけで完了するものではありません。電話確認への対応と見積書の受け取りまでが前提になる点をご理解のうえ、お申し込みください。
依頼する時にメモしておくと見積もりが比べやすくなる5点
- 完全分離型・部分共用型・同居改修のどのタイプを目指しているか
- 水回り(キッチン・浴室・トイレ・洗面)をいくつ増設したいか
- 玄関を分けるかどうか
- 希望する間取り変更の内容
- 予算の上限
この5点をメモにして各社へ渡すと、工事範囲が揃った見積もりが戻ってきます。
よくある質問
二世帯リフォームに補助金は使えますか
国の制度では、住宅性能の向上や複数世帯での同居に対応するリフォームを対象にした補助制度があります。年度によって、補助額の上限が設定されています。対象工事の範囲や申請のタイミングは制度によって異なります。計画段階で、制度の公式ページまたはお住まいの自治体の窓口で最新の条件をご確認ください。自治体独自の二世帯化支援制度を設けている地域もあります。
二世帯リフォームのローンは誰が組むのが一般的ですか
親世帯・子世帯どちらが主な負担者になるかによって異なります。親子リレーローンや子育て支援型のリフォームローンなど、複数の選択肢を扱う金融機関もあります。資金計画の早い段階での相談をおすすめします。
マンションでも二世帯リフォームはできますか
マンションは、床・壁がコンクリートスラブに直接仕上げてあることが多くあります。配管の新設や間仕切りの変更に、構造上の制約が出ることがあります。また、工事内容によっては管理規約で制限されている場合もあるため、計画前に管理組合への確認が必要です。
完全分離型と部分共用型、どちらが費用を抑えられますか
一般的には部分共用型の方が、増設する水回り設備の数が少ない分、費用を抑えやすい傾向があります。ただし、部分共用型でも浴室・トイレまで増設すると、完全分離型に近い金額になることもあります。どこまで分けるかを明確にしたうえで見積もりを依頼することが、費用を把握する近道です。
二世帯リフォームの工期はどれくらいかかりますか
公開されている情報では、部分共用型は2週間〜3か月程度、完全分離型は4〜6か月程度が目安とされています。増設する水回りの数や玄関新設の有無によって、工期はさらに延びることがあります。
まとめ
- 費用の目安:
- 完全分離型(玄関・水回りをすべて分ける): 1,500万〜3,000万円程度
- 部分共用型(玄関や浴室の一部を共有し、キッチンだけ分ける等): 500万〜1,500万円程度
- 同居のままの部分改修(個室増築・防音・水回り1箇所追加): 20万〜300万円程度
- 金額が割れる理由:
- 完全分離か部分共用かという構造の違い
- 既存配管からの距離
- 玄関増設の可否(建築基準法)
- 構造が木造かRCか
- バリアフリー要素の有無
- 頼み先の選び方:
- 15万円未満: 地元の工務店・大工へ直接相談
- 15万円超〜部分共用型: フォーム完結型の一括見積もりサービス
- 50万円以上の完全分離型: 電話確認が入る一括見積もりサービスを候補にする
- 見積もりの前に: 次の5点をメモにまとめてから依頼します。
- 目指すタイプ
- 増設したい水回りの数
- 玄関を分けるか
- 希望の間取り変更
- 予算の上限
出典(いずれも2026年10月29日確認)
- ハピすむ「二世帯住宅リフォームの費用相場は?間取り3種類と実例・補助金を解説」(間取りタイプ別・工事部位別の費用相場)
- パナソニック すまい作る「二世帯住宅のリフォーム(リノベーション)費用の相場・目安」(工事部位別の費用相場・工期)
- ホームテック「部位ごとに説明!二世帯リフォームの費用と相場を解説」(間取りタイプ別総額の目安・実例)
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